
【クイズ解説⑱】2万5千分1地形図の主曲線は何メートルごと? — 等高線の間隔と、その高さの基準
GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第18回です。第17回はメルカトル図法のゆがみを扱いました。
今回のテーマは 等高線。登山地図でも防災マップでも必ず出てくる、地形図のいちばん基本的な線です。間隔が縮尺で決まっていることと、その数値がどこを基準にした高さなのか——この2つが分かると、地図の読み方が一段変わります。
第1問:2万5千分1地形図で、細い等高線(主曲線)は何メートルごとに引かれている?
国土地理院の2万5千分1地形図には、細い線と太い線の等高線があります。細いほうの線(主曲線)は、標高何メートルごとに引かれているでしょうか。
- 5m ごと
- 10m ごと
- 20m ごと
- 50m ごと
正解:2(10m ごと)
なぜそうなるのか
等高線の間隔は、地図の縮尺ごとに決められています。
| 縮尺 | 主曲線(細い線) | 計曲線(太い線) | 補助曲線 |
|---|---|---|---|
| 2万5千分1地形図 | 10m ごと | 50m ごと(主曲線5本ごと) | 5m・2.5m |
| 5万分1地形図 | 20m ごと | 100m ごと(主曲線5本ごと) | 10m |
太い線(計曲線)は、主曲線5本ごとに1本を太く描いたものです。数えやすくするための目印なので、「太い線から2本上だから50+20で70m」というように読みます。
補助曲線は、傾斜がゆるやかで主曲線だけでは起伏を表しきれない場所に、破線などで補って描かれるものです。2万5千分1で2.5m間隔の補助曲線を使うときは、標高の数値が必ず注記される決まりになっています。
選択肢のどこが違うか
- 1(5m):2万5千分1の補助曲線の間隔です。主曲線ではありません
- 3(20m):5万分1地形図の主曲線の間隔です。縮尺が倍になると間隔も倍になります
- 4(50m):2万5千分1の計曲線(太い線)の間隔です。細い線と太い線を取り違えたときに出る数字です
間隔の「見かけの狭さ」が傾斜になる
2万5千分1では、地図上の1mmが実際の25mです。主曲線が1mm間隔で並んでいたら、水平25m進むあいだに10m上がる斜面ということになります。
- 線が密に詰まっている → 急斜面・崖
- 線がまばら → なだらかな斜面・平坦地
- 線が閉じた輪 → 山頂(内側を向いた短い線が付いていればくぼ地)
縮尺と間隔をかけ合わせて初めて、傾斜の実感に変換できます。
第2問:地形図の等高線が示す高さは、何を基準にした高さ?
地形図に「500」と書かれた等高線があります。この500mは、どこを高さゼロとして測った値でしょうか。
- 地球を数式で表した回転楕円体の面
- 東京湾の平均海面
- その地点にいちばん近い海岸の、その日の海面
- GNSS(GPS)受信機が出す高さ
正解:2(東京湾の平均海面)
なぜそうなるのか
日本の標高は、東京湾の平均海面を高さゼロとする面からの高さと決められています。実際の測量では、東京都千代田区永田町にある日本水準原点を出発点として、そこから水準測量で全国へ高さを配っていきました。
平均海面を陸地の下まで延長した面をジオイドと呼びます。等高線の数値は、このジオイドからの高さです。

選択肢のどこが違うか
- 1(回転楕円体の面):これは楕円体高の基準です。GNSSが直接求めるのはこちらで、標高とは日本国内でも数十メートル違います
- 3(その日の海面):海面は潮の満ち引きで刻々と変わります。基準にするのは「平均」海面であって、いまの海面ではありません
- 4(GNSSが出す高さ):多くの受信機が出すのは楕円体高、または機器の中でジオイドモデルを使って標高に直した値です。何を出しているかは機器と設定によります
楕円体高 = 標高 + ジオイド高
登山アプリの高度が地形図の等高線と食い違う——という体験は、機器の精度以前に「何を基準にした高さか」の問題であることが少なくありません。

GeoPrism JP のジオイドマップは、この「標高と楕円体高の差」が日本のどこでどれくらいあるかを地図上で確かめられる画面です。等高線の500mとGNSSの高さがどれだけ離れるのかを、自分の住んでいる場所で見てみると実感がつかめます。
線に見えるが、正体は点の集まり
今回の2問をまとめます。
- 2万5千分1は主曲線10m・計曲線50m、5万分1は20m・100m。まず縮尺を確認する
- 計曲線は主曲線5本ごと。数えるための目印
- 線の密度は傾斜。2万5千分1では地図上1mm=実際25m
- 等高線の高さは東京湾平均海面(ジオイド)を基準にした標高。楕円体高とは数十メートル違う
もうひとつ添えておくと、いまの地形図の等高線は人が1本ずつ描いているわけではありません。航空レーザー測量などで得た数値標高モデル(DEM)——地面の高さを格子状に並べたデータ——から、同じ高さの点をつないで計算で引かれています。
DEM(格子状の標高値)→ 同じ高さの点をつなぐ → 等高線
滑らかな線に見えるものの正体が、格子に並んだ標高値の集まりだと分かると、「なぜ拡大しても線が細かくならないのか」も腑に落ちます。
出典
- 国土地理院「地図記号:主曲線」 https://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign-tizukigou-2022-syukyokusen.htm
- 国土地理院「地図記号:補助曲線」 https://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign-tizukigou-2022-hojokyokusen.htm
- 国土地理院「日本水準原点・水準測量」 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/suijun-kijun.html
- 国土地理院「ジオイド」 https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/geoid2011_00.html
記載は2026年8月時点の公表情報に基づきます。図式の細部は国土地理院の最新の公表資料をご確認ください。
次に確認する
- 等高線の間隔と高さの基準を詳しい解説で確認する — 本クイズのもとになった解説記事です
- 楕円体高・標高・ジオイド高の違いを断面図で確認する — 第2問の「数十メートル違う」の中身です
- 海抜と標高の違いを確認する — 等高線の「0m」が何を指すのかが分かります
- 地図の縮尺と、図上0.2mmが決める精度の限界を確認する — 1mm=25mの話の続きです
- RTKで測った高さが標高ではない理由を確認する(GeoDiveExa) — 同じ話を測量の現場側から見たものです
- 書籍でまとめて学ぶ: 『日本の測地系Q&A』第8章「標高・ジオイド・海面」(Kindle Unlimited対応)
入門から通しで読むなら: 『日本の測地系がわかる本』 — 旧日本測地系から JGD2024 まで、座標がズレる理由と実務での扱いを1冊にまとめました(Kindle Unlimited 対応)
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