日本の国土面積は何平方キロ? — 3か月ごとに測り直される377,974.87km²と、市区町村を足しても都道府県に合わない理由

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日本の国土面積は何平方キロ? — 3か月ごとに測り直される377,974.87km²と、市区町村を足しても都道府県に合わない理由

日本の国土面積は何平方キロ? — 3か月ごとに測り直される377,974.87km²と、市区町村を足しても都道府県に合わない理由

377,974.87km²です。

学生のころ「日本の面積は約38万km²」と覚えたはずなのに、資料によって下の桁が違う。国土が増えたり減ったりしているのでしょうか。答えは「国土面積は3か月ごとに測り直されていて、地図が更新されるたびに変わる」です。しかもこの数字は、市区町村の面積を全部足しても一致しません


「面積調」という調査

日本の国土面積を出しているのは、国土地理院の 「全国都道府県市区町村別面積調」(略して面積調)です。測量法第12条の基本測量に関する長期計画に基づいて公表されています。

冒頭の377,974.87km²は、2026年(令和8年)4月1日時点の値です(2026年6月26日公表)。

公表は年4回。基準日と公表時期はこうなっています。

基準日 公表時期の目途
1月1日 3月末
4月1日 6月末
7月1日 9月末
10月1日 12月末

「毎年発表される国の面積」というより、四半期ごとに測り直されている量だと思ったほうが実態に近いのです。

何をもって「陸」と数えているか

面積調は、その時点の電子国土基本図(地図情報)における海岸線と市区町村等の境界で囲まれた地域を対象に、経緯度座標をもとに面積を測定しています。

ここで効いてくるのが「海岸線をどこに引くか」です。国土地理院は3つのルールを示しています。

  • 海岸線は満潮時の水涯線を表す。つまり、潮が満ちたときの水際が陸の縁になる
  • 河川および湖沼は陸域に含める。川も湖も、面積の上では陸
  • 河川の河口では、海岸線の自然な形状に従って河口両岸の先端を結んで陸と海の境とする

3つ目が地味に効きます。河口をどこまで川と見なすかで面積は変わってしまうので、「両岸の先端を結ぶ」と決め打ちしているわけです。ルールを決めないと数字が決まらない——面積という量の性格がよく出ています。

満潮時の水際を基準にするということは、干潮のときに現れる干潟は国土面積に入っていないということでもあります。海面の高さを何に取るかで陸の広さが変わる、という関係は、標高の基準の話とそのまま同じ構造です。

なぜ3か月ごとに変わるのか

国土地理院自身がFAQで理由を説明しています。面積測定の基となる電子国土基本図は局地的に年々更新されるので、更新された地図情報に、大きな縮尺で詳細に捉えた海岸線や新しくできた埋立地が描かれると、海岸線の形の変化に応じて面積が増減する——というものです。

実際の変動量も公表されています。2025年(令和7年)12月19日に示された、同じ10月1日時点どうしの1年間の比較です。

基準日 国土面積
令和7年(2025年)10月1日時点 377,979.67km²
令和6年(2024年)10月1日時点 377,975.64km²
差分 +4.03km²

そして、その主な変動要因として4つが挙げられています。

  1. 能登半島地震による海岸隆起
  2. 海面の埋立てによる増加
  3. 自然海岸(砂浜等)の侵食、堆積による増減
  4. 地図データの詳細化、高精度化に伴う海岸線形状の変化による増減

面白いのは、この4つのうち「本当に陸が増えた」と言えるのは1と2だけだという点です。3は増えることも減ることもあり、4にいたっては陸は1ミリも動いていないのに数字が動く。地図が細かくなって海岸線のギザギザを拾えるようになると、同じ海岸でも長さと面積が変わります。

なお、比較するなら基準日をそろえる必要があります。冒頭の令和8年4月1日時点(377,974.87km²)と令和7年10月1日時点(377,979.67km²)は基準日が違うので、この2つを引き算して「半年で減った」と読むのは適切ではありません。国土地理院自身の比較も、10月1日時点どうしで行われています。

さらに、平成25年以前と現在では測定方法が異なるため、古い面積調の値と単純に比較することはできません。「昔覚えた38万km²」との比較は、そもそも同じものさしではないのです。

市区町村を足しても都道府県に合わない

面積調のFAQに、こういう質問があります。「市区町村面積の合計が都道府県面積と一致しない場合があるのはなぜ?」

理由は四捨五入です。公表値は、公表する単位ごとに測定値の小数第三位を四捨五入しています。国土地理院が挙げている例をそのまま見ると分かりやすいです。

公表単位 公表値 (測定値)
○○県 61.01 61.012
A市 25.50 25.504
B市 20.00 20.004
C市 15.50 15.504
3市の公表値の合計 61.00

(単位はkm²)

県の測定値61.012を丸めると61.01。一方、3市を先に丸めてから足すと61.00。丸めてから足すか、足してから丸めるかで答えが変わるという、それだけの話です。

ここは間違えやすいところですが、どちらかが間違っているわけではありません。公表単位ごとに丸めると決めている以上、こうなるのが正しい。座標データを扱っていると、緯度経度を丸めてから距離を計算するか、計算してから丸めるかで結果が変わる場面によく出会いますが、それと同じことが国の統計でも起きています。

なお、小数第三位以下の値は公表されていません。手元で足し算を合わせたくなっても、その材料は配られていないということです。

どこまで細かく出るのか

面積調で測定される最小単位は市区町村です。したがって、

  • 市区町村内の町丁目単位・字単位の面積は測っていない
  • 合併前の旧市区町村の区域の面積も測っていない(最小単位は「現在の」市区町村)

「うちの町の面積が知りたい」まではたどり着けますが、「うちの丁目の面積」はこの調査からは出てきません。

何に使われている数字なのか

面積調の公表値は、国土の状況を継続的に把握するためだけのものではありません。国土地理院は具体的な用途を2つ挙げています。

  • 国勢調査報告における人口密度の算出
  • 地方交付税算定の基礎データ

人口密度は分母がこの面積です。つまり、地図が詳細化して海岸線の形が変わると、人口が1人も動いていなくても人口密度の数字は動きます。国土面積の測り方が、統計の見え方に直接効いているわけです。

明治15年から続いている

最後に沿革を。国土の面積の公表は明治15年(1882年)に太政官統計院によって初めて実施され、人口統計と並ぶ古い歴史を持ちます。昭和35年(1960年)からは国土地理院が全国都道府県市区町村別に毎年公表しています。

三角測量の時代から電子国土基本図の時代まで、測り方は何度も変わりました。だからこそ「昔の数字と今の数字を並べて増減を語る」ことができない。同じ国土でも、ものさしが変われば面積は変わる——それが140年以上続いているこの調査の教えるところです。

まとめ

  • 日本の国土面積は2026年4月1日時点で377,974.87km²(国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」)
  • 面積調は年4回(1/1・4/1・7/1・10/1時点)公表される。3か月ごとに測り直されている
  • 対象は電子国土基本図の海岸線と市区町村境界で囲まれた地域。海岸線は満潮時の水涯線、河川・湖沼は陸域、河口は両岸の先端を結ぶ
  • 面積が変わる要因は、地震による海岸隆起・埋立て・侵食と堆積・地図データの詳細化。最後の1つは陸が動かなくても数字が動く
  • 令和6年10月1日時点と令和7年10月1日時点の差は +4.03km²
  • 市区町村の合計と都道府県の値は一致しないことがある。公表単位ごとに小数第三位を四捨五入しているため
  • 測定の最小単位は市区町村。町丁目・字・合併前の旧市区町村は測っていない
  • この値は人口密度の算出と地方交付税算定の基礎データになっている

出典

  • 国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」 https://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO-title.htm
  • 国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調 よくあるご質問(FAQ)」 https://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO-faq.html

本記事の数値は2026年9月時点で国土地理院が公表している面積調に基づきます。国土面積は基準日ごとに更新されるため、最新の値は上記の公表ページでご確認ください。基準日の異なる公表値どうしを引き算して増減を論じることは適切ではなく、また平成25年以前の面積調は測定方法が異なるため現在の値と単純比較できません。


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