
【クイズ解説⑬】ズームレベルが1つ上がるとタイルは何枚になる? — 地理院タイルのきほん
GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第13回です。第12回はECEF(XYZ)と緯度経度の変換を扱いました。
今回はアプリの土台になっている地図そのものの話です。GeoPrism JP のズレマップもヒートマップも、背景には国土地理院が配信する地理院タイルを敷いています。この仕組みを知っておくと、「なぜ拡大すると読み込みが増えるのか」「なぜ北極が地図に出ないのか」といった素朴な疑問がつながります。詳しい背景は地理院タイルのしくみ — ズームレベルとタイル座標を学ぶでも扱っています。
第1問:ズームレベルが1つ上がると、世界を覆うタイルの枚数はどうなる?
地理院タイルのようなXYZ方式の地図タイルで、ズームレベル z が 1 つ上がると、世界全体を覆うのに必要なタイルの枚数はどう変わりますか。
- 変わらない
- 2倍になる
- 4倍になる
- 8倍になる
正解:3(4倍になる)
XYZ方式のタイルは、ズームレベル z のとき世界全体が 2^z × 2^z 枚の正方形タイルに分割されます。
| ズームレベル z | 1辺のタイル数 | 世界全体の枚数 |
|---|---|---|
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 2 | 4 |
| 2 | 4 | 16 |
| 10 | 1,024 | 約105万 |
| 18 | 262,144 | 約687億 |
z が 1 増えると縦も横もそれぞれ2倍になるので、枚数は 2 × 2 = 4倍です。同時に、1枚のタイルが受け持つ地上の範囲は縦横とも半分になり、見える細かさ(分解能)が2倍になります。
地図アプリで拡大していくと通信量が急に増えるのは、この「4倍ずつ」の性質のためです。地理院タイルの標準地図はズームレベル0〜18まで用意されており、z=18 の全世界分は理屈のうえでは途方もない枚数になりますが、実際には画面に映る数枚〜数十枚だけを取りに行くので成り立っています。

第2問:地理院タイルの地図はどの投影法で描かれている?
地理院タイル(標準地図など)が採用している投影法は次のうちどれですか。
- 緯度経度をそのまま縦横に並べたもの
- Webメルカトル図法(EPSG:3857)
- 平面直角座標系(19系)
- UTM図法
正解:2(Webメルカトル図法)
地理院タイルは、Web地図で広く使われるWebメルカトル図法(EPSG:3857)で描かれています。球体としてのメルカトル投影を使い、世界全体が正方形に収まるよう設計されているのが特徴です。
この投影には、押さえておくとよい性質が2つあります。
(1)緯度に上限がある
メルカトル図法は極に近づくほど縦方向が引き伸ばされ、極そのものは無限遠になってしまいます。そこで Webメルカトルではおよそ南北緯85.05度で切って、世界をちょうど正方形にしています。Web地図に北極点・南極点が表示されないのはこのためです。
(2)高緯度ほど面積が大きく見える
同じ画面上の面積でも、高緯度の地域ほど実際より大きく描かれます。日本国内でも北海道と九州では、わずかですが縮尺の効き方が違います。
そしてWebメルカトルは測量用の座標系ではありません。地図の見た目を作るための投影であって、距離や面積を測る用途には平面直角座標系を使います。この使い分けはWebメルカトル(EPSG:3857)と平面直角座標系を取り違えない(GeoConverterPro)にまとめています。

ひとことメモ:タイル座標の求め方
ある地点がどのタイルに入るかは、ズームレベル z のとき次の式で求まります。
x = floor( (経度 + 180) / 360 × 2^z )
y は緯度をメルカトル投影してから同じように割り当てます。x は経度から素直に決まるのに対し、y には投影の式が挟まる——ここが地図タイルの計算でつまずきやすい点です。
タイル座標が決まれば、あとは .../{z}/{x}/{y}.png の形の URL で画像を取りに行くだけ。地図アプリの実装がタイル方式に集約されているのは、この単純さのおかげです。実装側の話はMapKitでヒートマップを描く — オーバーレイ実装の勘所や.NET MAUIで地図タイルを重ねる実装(GeoDiveExa)で扱っています。

まとめ
- XYZ方式のタイルは、ズームレベル z のとき世界が 2^z × 2^z 枚に分かれる。z が1上がると枚数は4倍、分解能は2倍
- 地理院タイルは Webメルカトル図法(EPSG:3857)。緯度はおよそ±85.05度で切られている
- Webメルカトルは地図表示用の投影であり、距離・面積を測るなら平面直角座標系を使う
- タイル座標は経度・緯度から計算で決まり、
{z}/{x}/{y}の URL で取得できる
次回もクイズから2問を取り上げて解説します。GeoPrism JP の学習モードの使い方は学習モード・クイズの使い方にまとめています。
出典
- 国土地理院「地理院タイル一覧」 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
- 国土地理院「地理院タイルについて」 https://maps.gsi.go.jp/development/siyou.html
- EPSG Geodetic Parameter Dataset「EPSG:3857 WGS 84 / Pseudo-Mercator」 https://epsg.org/
関連記事(参考情報)
- 地理院タイルのしくみ — ズームレベルとタイル座標を学ぶ(GeoPrism JP)
- 【クイズ解説⑫】ECEF(XYZ)と緯度経度はどう変換される?(GeoPrism JP)
- MapKitでヒートマップを描く — オーバーレイ実装の勘所(GeoPrism JP)
- Webメルカトル(EPSG:3857)と平面直角座標系を取り違えない(GeoConverterPro)
- UTMと平面直角座標系 — 同じ投影・違う運用(GeoConverterPro)
- .NET MAUIで地図タイルを重ねる実装 — 透明度合成の作り方(GeoDiveExa)
開発者より: アプリ・Kindle本・オープンソースの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。
お願い
本記事の情報は参考目的で掲載しており、正確性・完全性を保証するものではありません。誤記・不正確な情報がございましたら、コメント欄よりご指摘いただければ、確認のうえ修正いたします。
アプリを入手(App Store):GeoConverterPro(座標変換) | GeoPrism JP(測地系の可視化・学習)
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