
【クイズ解説⑦】緯度1度・経度1度は何メートル? — 座標の桁数と距離感をクイズで学ぶ
GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第7回です。第1回は地震のあとの座標補正(PatchJGD)、第2回は平面直角座標系、第3回は楕円体高・標高・ジオイド、第4回は旧日本測地系と世界測地系のズレ、第5回はGRS80とWGS84の準拠楕円体、第6回はセミダイナミック補正を扱いました。今回は少し原点に戻り、緯度経度の「度」を距離(メートル)に換算する感覚をクイズで確認します。
第1問:緯度1度はおよそ何メートルか
地球上のどの場所でも、緯度が1度変化すると、南北方向の距離はおよそ何メートル変化しますか。
- 約1.1km
- 約11km
- 約111km
- 約1,110km
正解:3(約111km)
地球をおおまかな球とみなすと、緯度1度あたりの南北方向の距離は、赤道付近でも極付近でもほぼ一定で約111kmになります。これは、子午線(南北方向の円)の全周(約4万km)を360度で割ったおおよその値です。
| 区分 | 1度あたり | 補足 |
|---|---|---|
| 緯度 1度 | 約111km | どの緯度でもほぼ一定 |
| 経度 1度 | 約111km × cos(緯度) | 高緯度ほど短くなる(第2問で解説) |
※ 地球は完全な球ではなく回転楕円体のため、上記はあくまで概算です。厳密な距離は準拠楕円体(GRS80など)に基づいて計算します。

第2問:経度1度の距離が場所によって変わる理由
経度1度あたりの東西方向の距離は、場所によって変わります。その理由として正しいものはどれですか。
- 経線(子午線)どうしの間隔は、緯度が高くなるほど狭くなるため
- 経線どうしの間隔は、経度が変わっても常に一定であるため
- 東経と西経で地球の半径が異なるため
- ジオイド高が場所によって異なるため
正解:1(緯度が高くなるほど経線の間隔が狭くなるため)
経線(南北を結ぶ線)はすべて北極・南極の2点に収束します。そのため、赤道付近では経線どうしの間隔が最も広く(経度1度 ≈ 約111km)、緯度が高くなるほど間隔が狭くなり、極ではついに0になります。日本の本州付近(北緯35度前後)では、経度1度はおよそ90km前後、北海道の北部(北緯45度前後)ではおよそ79km前後まで縮みます。
| 緯度の目安 | 経度1度あたりの距離(概算) |
|---|---|
| 赤道(0度) | 約111km |
| 本州付近(北緯35度前後) | 約91km |
| 北海道北部(北緯45度前後) | 約79km |
| 極(90度) | 0km |
緯度・経度が「同じ1度でも東西と南北で意味が違う」ことは、座標を距離感でイメージするうえで見落としやすいポイントです。
ひとことメモ:小数点以下の桁数が「距離の細かさ」を決める
緯度経度は小数点以下の桁数で、扱える距離の細かさが決まります。緯度側(約111km/度が基準)で見ると、次のようなイメージです。
| 小数点以下 | 緯度での距離の目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 0.001度 | 約111m | 街区くらい |
| 0.0001度 | 約11m | 建物くらい |
| 0.00001度 | 約1.1m | 部屋くらい |
| 0.000001度 | 約0.11m(11cm) | RTK測量の世界(ギリギリ) |
| 0.0000001度 | 約0.01m(1.1cm) | RTK測量の世界 |
RTK-GNSSのcm級測位を扱うには、小数第7位(0.0000001度)まで座標を持たないと精度が生かせません。桁を丸めすぎると、せっかくの高精度測位の意味が失われてしまいます(Geoアプリは小煤点8桁にしています)。

GeoPrism JP のズレマップでは、旧日本測地系と世界測地系の差(数百メートル規模)を地図上のピンとズレ量の線で表示します。「度の小さな差」が地図上でどれくらいの距離になるのかを、実際の地図で確かめてみると、今回のクイズの内容がより腑に落ちるはずです。
まとめ
緯度1度は場所によらずおよそ111km、経度1度は緯度によって約111km(赤道)から0km(極)まで変化します。この「南北は一定・東西は緯度しだい」という非対称性を押さえておくと、測位精度の話(単独測位の数m・RTKのcm級が桁のどこに効くか)や、座標系の話(メートル単位で扱いやすい平面直角座標系がなぜ使われるか)の理解がぐっとスムーズになります。
「学ぶ・クイズ」で確認した内容は、GeoPrism JPのズレマップやヒートマップで実際の分布に触れると、より定着しやすくなります。次回もクイズから2問を取り上げて解説します。
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出典
- 国土地理院「距離と方位角の計算(測地線長)」関連解説 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/surveycalc/surveycalc/bl2st_calc.html
- 本記事の距離換算値は、地球をGRS80準拠楕円体に近い球とみなした概算値です(緯度によって正確な値はわずかに変化します)。
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