【クイズ解説⑤】GRS80とWGS84は同じ楕円体? — 準拠楕円体をクイズで理解する

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GRS80とWGS84は同じ楕円体? — 準拠楕円体をクイズで理解する

【クイズ解説⑤】GRS80とWGS84は同じ楕円体? — 準拠楕円体をクイズで理解する

GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第5回です。第1回は地震のあとの座標補正(PatchJGD)、第2回は平面直角座標系、第3回は楕円体高・標高・ジオイド、第4回は旧日本測地系と世界測地系のズレを扱いました。今回のテーマは、「日本の測地系はGRS80、GPSはWGS84」という、聞き流されがちな2つの準拠楕円体の違いです。


第1問:GRS80とWGS84で完全に一致している数値はどれか

日本の測地系が採用する準拠楕円体GRS80と、GPSが採用するWGS84。次の数値のうち、両者で完全に一致しているのはどれですか。

  1. 扁平率
  2. 長半径(赤道半径)
  3. 離心率
  4. 短半径(極半径)

正解:2(長半径)

準拠楕円体は長半径(赤道半径)扁平率(どれだけつぶれているか)の2つの数値で定義されます。GRS80とWGS84は、長半径 a = 6,378,137m で完全に一致しています。違うのは扁平率のごくわずかな端数だけです。

GRS80 WGS84
制定機関 国際測地学協会(IUGG)1979年 アメリカ国防総省(DoD)1984年
長半径 a 6,378,137 m 6,378,137 m(同一)
扁平率 f 1 / 298.257222101 1 / 298.257223563

準拠楕円体とジオイド・標高の関係

長半径が一致し、扁平率だけがわずかに違う——この2つの準拠楕円体は、事実上ほぼ同じ形として扱われています。


第2問:扁平率の違いは、短半径換算でどれくらいの差になるか

GRS80とWGS84の扁平率のわずかな違いは、地球の短半径(極半径)に換算するとどれくらいの差になりますか。

  1. 約100m
  2. 約1m
  3. 約10cm
  4. 約0.1mm

正解:4(約0.1mm)

短半径換算での差は約0.105mm。cm級精度のRTK-GNSSでも測位誤差の中に埋もれてしまう、実用上まったく問題にならない差です。

この違いは、別々に観測して求めた結果というより、同じ理論に基づきながら数値の丸め方が違ったことが原因です。WGS84はGRS80を土台に策定されましたが、扁平率を導く際に使う地球の力学的形状係数($J_2$)を有効数字8桁で打ち切って計算したため、ごくわずかな差が生じました。


ひとことメモ:楕円体の違いと測地系のズレは別スケール

GRS80とWGS84の違いはミリ以下ですが、旧日本測地系(Tokyo Datum)と世界測地系(JGD系)のズレは数百m級に達します。「準拠楕円体の違い」と「測地系(座標系の原点・基準の取り方)の違い」は、まったく別のスケールの話として区別することが大切です。測量士補試験などでは、GRS80とWGS84が「別々に定義された楕円体である」という点が問われることもあります。


まとめ

GRS80とWGS84は、長半径が完全に一致し、扁平率だけがごくわずかに異なる準拠楕円体です。差は短半径換算で約0.105mmと、実務上は同一視されますが、「厳密には別の楕円体」という理解は覚えておく価値があります。楕円体の違い(ミリ以下)と、測地系のズレ(数百m級)を混同しないようにしましょう。

「学ぶ・クイズ」で確認した内容は、GeoPrism JPのジオイドマップやズレマップで実際の数値に触れると、より定着しやすくなります。次回もクイズから2問を取り上げて解説します。

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出典

  • GRS80 | Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/GRS80
  • 日本の測地系・準拠楕円体(GRS80) | 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/datum-main.html

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