【クイズ解説⑨】GPS時刻はなぜUTCと18秒ずれている? — うるう秒のきほん


GPS時刻はなぜUTCと18秒ずれている? — うるう秒のきほん

【クイズ解説⑨】GPS時刻はなぜUTCと18秒ずれている? — うるう秒のきほん

GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第9回です。第8回はGNSS測位に最低何機の衛星が必要かを扱いました。今回は時刻の話——GPS時刻とUTC(協定世界時)の「ズレ」をクイズで確認します。詳しい背景は「うるう秒とGNSS時刻」でも扱っています。


第1問:GPS時刻とUTCは何秒ずれている?

GPS時刻と協定世界時(UTC)は、2026年現在何秒ずれていますか。

  1. ずれていない(同じ)
  2. 9秒
  3. 18秒
  4. 37秒

正解:3(18秒)

GPS時刻は1980年1月6日を起点に、うるう秒を挟まず連続的に秒を数え続けている時刻系です。一方UTCは、地球の自転速度のわずかなゆらぎに合わせて不定期に「うるう秒」を挿入し、天文時とのズレを補正してきました。1980年の起点ではGPS時刻とUTCは一致していましたが、その後UTC側だけにうるう秒が積み重なったため、両者の差は徐々に開いていき、直近のうるう秒挿入以降はGPS時刻がUTCより18秒進んだ状態で固定されています(うるう秒が新たに挿入されない限り、この差は変わりません)。

GPS時刻とUTCの18秒差を示す図解


第2問:GPS時刻がうるう秒を入れない理由

GPS時刻がUTCと違い、うるう秒を挿入しないのはなぜですか。

  1. うるう秒の仕組み自体がGPS衛星に搭載されていないから
  2. 航法計算では「連続的に数えられる時刻」が必要なため、時刻軸に不連続な補正を入れられないから
  3. GPS衛星はそもそも時刻情報を送信していないから
  4. うるう秒はUTCより先にGPS時刻へ適用されるルールだから

正解:2(航法計算では連続的な時刻軸が必要なため)

測位計算では、衛星からの電波が届くまでの時間差をもとに距離を求めます。この計算の途中でもし時刻軸に「うるう秒による1秒の飛び」が入ってしまうと、時間差の計算がその瞬間だけ狂ってしまいます。GPSのような航法システムは、時刻を単調に連続して数え続けられることを優先し、うるう秒による補正を意図的に採用していません。

その代わり、GPS受信機は航法メッセージに含まれる「UTCへの変換に使うパラメータ(現在の累積うるう秒数など)」を受け取り、必要に応じて表示用の時刻をUTCへ変換しています。衛星測位そのものの計算はGPS時刻(連続時刻)で行い、人間向けの時刻表示だけをUTCに直す、という役割分担です。

時刻系 特徴
TAI(国際原子時) うるう秒なし。最も基準となる連続時刻
GPS時刻 1980年起点。うるう秒なし。TAIとは固定の19秒差
UTC(協定世界時) うるう秒あり。地球の自転に合わせて不定期に補正

ひとことメモ:うるう秒は将来廃止予定

国際的な合意により、うるう秒の仕組みは2035年をめどに廃止される方向が決まっています。廃止後は、UTCも(少なくとも当面の間は)うるう秒による補正なしで運用される見通しで、GPS時刻との関係もより単純になっていくと考えられます。この経緯の詳細は「うるう秒とGNSS時刻」で扱っているので、あわせてご覧ください。もう一つの「時刻の巻き戻り」問題についてはGPS週ロールオーバーでも解説しています。


まとめ

GPS時刻はうるう秒を挟まない連続時刻で、UTCとは現在18秒の固定差があります。航法計算に不連続な補正を持ち込まないための設計であり、UTC変換は受信機側で別途行われます。時刻系の違いはログのタイムスタンプなど実務でも見落としやすいポイントなので、この機会に整理しておくと役立ちます。次回もクイズから2問を取り上げて解説します。

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出典

  • 国際地球回転・基準系事業(IERS)うるう秒に関する公表資料
  • GPS時刻・UTC・TAIの関係に関する一般的なGNSS工学の教科書的定義

開発者より: アプリ・Kindle本・オープンソースの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。


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本記事の情報は参考目的で掲載しており、正確性・完全性を保証するものではありません。誤記・不正確な情報がございましたら、コメント欄よりご指摘いただければ、確認のうえ修正いたします。


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