
【クイズ解説⑧】GNSSの位置測位に最低何機の衛星が必要? — 4元一次方程式のきほん
GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第8回です。第1回はPatchJGDと地殻変動補正、第7回は緯度経度1度の距離感を扱いました。今回は測位の一番の基礎、「GNSSで位置を出すには最低何機の衛星が必要か」をクイズで確認します。
第1問:単独測位に最低限必要な衛星数
GNSS受信機がその場の緯度・経度・高さを求めるには、最低何機の衛星からの信号が必要ですか。
- 2機
- 3機
- 4機
- 6機
正解:3(4機)
「位置は3次元(緯度・経度・高さ)だから3機で十分では?」と思うかもしれませんが、実際には4機が必要です。理由は、GNSS受信機が正確な原子時計を積んでおらず、時刻のズレ(クロックバイアス)も未知数として同時に解く必要があるためです。
| 未知数 | 内容 |
|---|---|
| $x, y, z$(または緯度・経度・高さ) | 受信機の3次元位置 |
| $\delta t$ | 受信機時計のズレ(クロックバイアス) |
未知数が4つあるため、これを解くには最低4つの独立した方程式、つまり4機の衛星からの距離情報が必要になります。

第2問:衛星4機で解く「4元一次方程式」の中身
GNSS受信機が4機の衛星から位置を求める計算は、次のうちどれに最も近いですか。
- 4元連立一次方程式を解いて位置と時計ズレを同時に求める
- 4機の衛星の位置を平均した点を受信機の位置とする
- 最も信号が強い1機の衛星との距離だけで位置を決める
- 4機のうち中央値の距離を採用する
正解:1(4元連立一次方程式を解いて位置と時計ズレを同時に求める)
各衛星 $i$ について、受信機が観測する擬似距離(pseudorange)$\rho_i$ は、次の式で表せます。
$$
\rho_i = \sqrt{(x – x_i)^2 + (y – y_i)^2 + (z – z_i)^2} + c\,\delta t
$$
ここで $(x_i, y_i, z_i)$ は衛星 $i$ の既知の位置、$c$ は光速、$\delta t$ は受信機の時計ズレです。未知数は受信機位置 $(x, y, z)$ と $\delta t$ の4つ。衛星が4機あれば、この式が4本立ち、理論上は連立方程式として解けます(実際には非線形方程式なので、初期値から反復して解く手法が使われます)。
衛星が5機・6機と増えるほど方程式の本数が未知数を上回り(過剰決定系)、最小二乗法で誤差を平均化して精度を上げられるようになります。RTK-GNSSやカーナビが「見える衛星が多いほど精度が上がる」と言われるのは、この過剰決定の効果が効いているためです。
ひとことメモ:DOP(精度低下率)は「衛星の数」より「配置」
衛星が4機以上あっても、それらが空の一箇所に偏って配置されていると、測位精度は思ったほど上がりません。これは衛星の幾何学的な配置が測位精度に影響するためで、GDE(GeoDiveExa)のブログではSkyPlotとDOPの読み方として、この「配置による精度低下率」を現場目線で詳しく解説しています。数だけでなく配置も重要、という点は測位を学ぶうえで見落としやすいポイントです。
まとめ
GNSSの単独測位には、受信機の3次元位置に加えて時計ズレも未知数になるため、最低4機の衛星が必要です。各衛星からの擬似距離の式を連立させ、4つの未知数を同時に解くのが測位計算の基本形であり、衛星が増えるほど最小二乗法で精度を高められます。「学ぶ・クイズ」で確認した内容は、GeoPrism JPの各種可視化機能と合わせて確認すると、より理解が深まります。次回もクイズから2問を取り上げて解説します。
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出典
- GNSS測位の原理(擬似距離方程式・クロックバイアス)に関する一般的な測地学・GNSS工学の教科書的定義
開発者より: アプリ・Kindle本・オープンソースの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。
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