測地系を変換する2つの流儀 — パラメータ変換とグリッド変換をやさしく学ぶ

,

測地系を変換する2つの流儀を学ぶ

測地系を変換する2つの流儀 — パラメータ変換とグリッド変換をやさしく学ぶ

「旧日本測地系(Tokyo)から世界測地系(JGD)へ変換する」と一口に言っても、どうやって変換するのかには大きく2つの流儀があります。世界で一般的な パラメータ変換と、日本が採用している グリッド変換です。この違いを知ると、なぜ日本の測地系変換が「地図(格子)」に基づくのかが見えてきます。GeoPrism JP(GPRM)の「見て・学ぶ」コンセプトで整理します。

利用プランについて: ズレマップ・ジオイドマップ・ヒートマップは無料プランで1日10回まで利用できます。


流儀その1:パラメータ変換

ある測地系から別の測地系へ、少数の数値(パラメータ)だけで座標を変換する方法です。

方式 使うパラメータ 内容
3パラメータ 平行移動 X・Y・Z 座標系の原点をずらすだけ
7パラメータ(ヘルマート) 平行移動3+回転3+スケール1 原点移動に加え、回転と縮尺のわずかな差も補正

地域全体を「まとめて同じだけ動かす(+少し回す・伸ばす)」イメージです。海外の広い大陸などでは、この少数パラメータで実用十分な精度が得られることが多く、シンプルで計算も軽いのが利点です。


流儀その2:グリッド変換(日本の方式)

日本では、全国に張った 格子(グリッド)の各点に「ここでは何秒ずらす」というズレ量を用意し、変換したい地点の周りの格子点から 内挿してズレ量を求めます。国土地理院の TKY2JGD(旧日本測地系→世界測地系)や PatchJGD(地震後の補正)、セミ・ダイナミック補正が、この格子方式にあたります。

特徴 内容
場所ごとにズレ量が違う 格子点ごとに補正量を持つので、地域差を細かく表現できる
内挿で求める 対象点を囲む格子点の値から、なめらかに補間する
非一様なズレに強い 地殻変動などで「場所によってズレ方が違う」状況を表せる

なぜ日本はグリッド方式なのか

答えは ズレが一様ではないからです。日本列島はプレート境界に位置し、地殻変動によって「どれだけずれるか」が場所ごとに異なります。旧日本測地系と世界測地系のズレも、全国どこでも同じ向き・同じ量ではありません。こうした 場所ごとに違うズレは、少数パラメータの平行移動・回転では表しきれず、格子で地点ごとに持たせるのが自然なのです。

GeoPrism JP のズレマップは、まさにこの「場所によって違うズレ」を地図上のベクトルとして可視化する機能です。倍率を上げると、地域ごとにズレの向きと大きさが少しずつ違う様子が見えてきます。パラメータ変換では表せない、この非一様さこそがグリッド方式が必要な理由です。

地殻変動そのものの「場所ごとの違い」は、「プレート運動と地殻変動を見て学ぶ」でも可視化しています。

GeoPrism JP のズレマップ画面 GeoPrism JP の測地系ズレヒートマップ

2つの流儀をひとことで

パラメータ変換 グリッド変換
考え方 まとめて動かす(+回転・スケール) 場所ごとにズレ量を持つ
得意 一様なズレ・広域・軽い計算 非一様なズレ・地域差の再現
日本での例 TKY2JGD、PatchJGD、セミ・ダイナミック補正

セミ・ダイナミック補正のしくみは「セミダイナミック補正を見て学ぶ」で、地図と合わせて確認できます。


まとめ

  • 測地系変換には パラメータ変換(少数の数値でまとめて動かす)と グリッド変換(格子点ごとのズレ量を内挿)がある。
  • 日本は地殻変動でズレが 一様でないため、TKY2JGD などの グリッド方式を採用している。
  • GeoPrism JP のズレマップで「場所ごとに違うズレ」を見ると、グリッドが必要な理由が体感できる。

出典

  • Tokyo→JGD2000座標変換(TKY2JGD) | 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/tky2jgd.html
  • 測地成果2011(PatchJGDによる座標補正) | 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/sokuchikijun40003.html

関連記事


開発者より: アプリ・Kindle本・オープンソースの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。


お願い
本記事の情報は参考目的で掲載しており、正確性・完全性を保証するものではありません。誤記・不正確な情報がございましたら、コメント欄よりご指摘いただければ、確認のうえ修正いたします。


アプリを入手(App Store)GeoConverterPro(座標変換) | GeoPrism JP(測地系の可視化・学習)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top