
【クイズ解説④】古い地図はなぜ数百mズレる? — 旧日本測地系と世界測地系
GeoPrism JP の「学ぶ・クイズ」から毎回2問ほどを取り上げて解説する連載、第4回です。第1回は地震のあとの座標補正(PatchJGD)、第2回は平面直角座標系、第3回は楕円体高・標高・ジオイドを扱いました。今回のテーマは、古い成果を扱うときに必ず出てくる 測地系のズレ です。「どれくらいズレるのか」「なぜズレるのか」という2点を取り上げます。
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第1問:旧日本測地系と世界測地系では座標値がどれくらいズレる?
同じ地点でも、旧日本測地系(Tokyo Datum)と世界測地系では緯度経度の数値が異なります。日本国内でのズレは、距離にしておおよそどれくらいでしょうか。
- 約4cm
- 約4m
- 約40m
- 約400m
正解:4(約400m)
旧日本測地系と世界測地系では、座標値が おおむね400m程度ずれます。東京付近では経度が約−12秒・緯度が約+12秒変化し、距離に換算すると 北西方向へ約450m に相当します(国土地理院の解説による)。
数センチ・数メートルではなく数百メートルというのがポイントです。古い図面の座標をそのまま現代の地図に重ねると、隣の街区どころか別の場所を指してしまうほど大きくズレます。しかもズレの量と向きは地域によって異なるため、「一律に何メートル足す」では正しく合いません。

上のヒートマップ(TKY2JGD補正量)を見ると、ズレの大きさが地域によって違うことが一目でわかります。GeoPrism JP の「ズレマップ」では、変換元から変換先へのズレをピンと線で表示し、ベクトル倍率で誇張もできます。地域ごとにズレの向き・大きさが違う様子を、地図上で実感できます。
第2問:そのズレが生じる主な原因は?
旧日本測地系と世界測地系で座標値が約400mもずれる、主な原因はどれですか。
- 地球が自転しているから
- GPS衛星の数が年々増えたから
- 基準にする楕円体と原点の取り方が異なるから
- 地震で地面が400m動いたから
正解:3(基準にする楕円体と原点の取り方が異なるから)
旧日本測地系は ベッセル楕円体 を採用し、明治期に麻布台の原点で局所的に緯度経度を定めました。一方、世界測地系は GRS80楕円体 を採用し、ITRF(地球の重心を基準とした世界共通の枠組み) で定義されています。基準とする楕円体の形も、原点の置き方も違うため、同じ地点でも座標値が食い違うわけです。
| 旧日本測地系(Tokyo Datum) | 世界測地系(JGD) | |
|---|---|---|
| 準拠楕円体 | ベッセル楕円体 | GRS80 |
| 基準 | 麻布台の原点で局所的に決定 | 地球重心・世界共通(ITRF) |
選択肢4の「地震」は別の話です。地震による地殻変動は数cm〜数mのオーダーで、PatchJGD などの地殻変動補正で扱います(第1回クイズ参照)。約400mのズレは地震ではなく、測地系そのものの違いが原因です。両者を混同しないことが大切です。

ひとことメモ:変換には TKY2JGD
旧日本測地系を世界測地系へ正しく変換するには、地域ごとの補正量を持つ国土地理院の TKY2JGD 相当の変換が必要です。ズレが地域で異なる以上、固定値の足し引きでは合いません。「古い座標は旧測地系かもしれない」と気づき、対応する変換を選ぶ——これが実務の第一歩です。
まとめ
旧日本測地系と世界測地系では、座標値が 約400m(東京付近で北西へ約450m)もずれます。原因は地震ではなく、準拠楕円体と原点の取り方の違いという測地系そのものの差です。ズレの量と向きは地域で異なるため、変換には TKY2JGD 相当のパラメータが要ります。GeoPrism JP の「ズレマップ」で、その大きさと向きを地図上で確かめてみてください。
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出典
- 日本の測地系 | 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/datum-main.html
- 世界測地系への移行(TKY2JGD) | 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/tky2jgd.html
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