
Kindle電子書籍「日本の測地系がわかる本」を書く過程で、思いがけない副産物がありました。本の原稿をチェックしていたら、GeoPrism JP(GPRM)自体の説明不足やバグに何度も気づいたのです。今回は、執筆がアプリレビューとして機能した、という開発の裏側の話です。
執筆中に見つかった問題
本の図版やスクリーンショットを何度も見返しながら文章を書いていると、アプリ単体を眺めているだけでは気づかなかった細かいズレが目に入ってきます。実際に見つかった問題は、大きく次のような種類に分かれました。
- 呼称の表記揺れ:
jgd2024b/JGD2024Bのように、補正の種類を表す呼び名の大文字・小文字表記がアプリ内の画面ごとに揃っていなかった - 図版の文字化け:宣伝バナーなど画像内テキストの一部が、環境によって正しく表示されていなかった
- 説明文の言葉足らず:アプリの中では動作として自然に理解できても、文章として第三者に説明しようとすると言葉が足りない箇所があった
アプリを触っているだけでは「動いているから問題ない」で流してしまいがちな箇所も、本の読者に向けて一から説明する文章を書く段階では、曖昧さがそのまま読みにくさとして跳ね返ってきます。
「人に説明する」ことの検査能力
これは執筆を通じて実感したことですが、人に説明する文章を書く作業には、一種の検査能力があるように思います。
アプリの実装者はどうしても「知っている前提」で画面を見てしまい、表記の揺れや説明不足に鈍感になりがちです。ところが、何も知らない読者に向けて一から説明を書こうとすると、「あれ、この用語はさっきと表記が違う」「ここは動作の理由を書けない」という引っかかりに何度も出会います。開発者としての目では素通りしていた粗さが、書き手としての目では止まって見える、という感覚です。
本→アプリへ反映した改善
見つかった問題のうち、直せるものはその場でアプリ側にも反映しました。表記揺れの統一や、画像内テキストの修正などがこれにあたります。書籍の原稿と実際のアプリの両方を行き来しながら作業したことで、本を書く→アプリの粗を見つける→アプリを直す→本の記述も正確になるという、双方向の改善ループが自然に回るようになりました。
これは狙って設計した仕組みというより、1人で本とアプリを同時に作っていたからこそ生まれた副産物です。もし本の執筆を外部のライターに任せていたら、実装者本人がここまで細かい表記揺れに気づく機会は少なかったかもしれません。
GPRMユーザーへの還元点
この執筆過程で見つかった改善は、そのままGPRMを使う方への還元にもなっています。表記が統一されたことで、アプリ内の学習モードやクイズの解説文がより一貫した言葉遣いになり、測地系の用語に不慣れな方でも迷いにくくなりました。
「アプリの説明ドキュメントを作る」という作業は、単なる広報活動ではなく、アプリ自体の品質を見直す機会にもなるというのが、今回の一番の学びでした。
まとめ
- Kindle本「日本の測地系がわかる本」の執筆中、原稿チェックを通じてGPRM自体の表記揺れ・図版の文字化け・説明不足が複数見つかった。
- 「人に説明する文章を書く」という作業には、開発者目線では見落としがちな粗さをあぶり出す検査能力がある。
- 見つかった問題はアプリ側にも反映し、本とアプリを行き来する双方向の改善ループが生まれた。
- 結果として、アプリの学習モード・クイズの説明文もより一貫した言葉遣いになり、ユーザーにも還元されている。
関連記事
- GeoPrism JP の学習モード・クイズの使い方 — 測地系を体系的に学ぶ
- アプリ開発者がKindle本を出すまで — 「日本の測地系がわかる本」制作全記録(連載①・GeoConverterPro)
- AIに辛口編集レビューをさせる — 3つの評価を統合した改稿プロセス(連載⑭・GeoConverterPro)
- 正典ファイル1枚でAIに文脈を渡す — レジストリ方式のドキュメント運用(GeoPrism JP)
開発者より: アプリ・Kindle本・オープンソースの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。
お願い
本記事の情報は参考目的で掲載しており、正確性・完全性を保証するものではありません。誤記・不正確な情報がございましたら、コメント欄よりご指摘いただければ、確認のうえ修正いたします。
コメントを残す