ズームすると地図の中身が変わるのはなぜ? — 地理院地図のZL9〜14に貼られた別々の地図と、2026年9月30日のリニューアル

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ズームすると地図の中身が変わるのはなぜ? — 地理院地図のZL9〜14に貼られた別々の地図と、2026年9月30日のリニューアル

ズームすると地図の中身が変わるのはなぜ? — 地理院地図のZL9〜14に貼られた別々の地図と、2026年9月30日のリニューアル

ズームレベルごとに、もとになる地図そのものが差し替わっているからです。 写真を拡大するように同じ絵が伸び縮みしているのではありません。ズームレベル(ZL)が1つ変わると、描き元の地図が別の縮尺のものに切り替わり、載る記号・文字・線の量がまとめて入れ替わります。2026年9月30日、国土地理院はこの「どのZLにどの地図を貼るか」を組み替えるリニューアルを行いました。

この記事はタイルの中身の話です。タイル座標(z/x/y)がどう計算されるかというしくみのほうは 地理院タイルとは に書いてあります。同じ「ズームレベル」という言葉を、別の角度から見ています。


縮尺が変われば、描けるものが変わる

紙の地図を思い出すと分かりやすいところです。2万5千分1の地形図には家が1軒ずつ載りますが、20万分1の地勢図に同じ描き方をしたら、家は点にもならず真っ黒に潰れます。だから小さい縮尺の地図では、

  • 建物を1軒ずつ描くのをやめて市街地のかたまりとして塗る
  • 曲がりくねった道路・海岸線の細かい凹凸を減らす
  • 地名を間引いて、大きいものだけ残す
  • 道路を実際の幅より太く描く(そうしないと線が見えない)

といった処理をします。これを総描(一般化)と呼びます。ポイントは、縮尺が小さくなるほど地図は「簡略版」になるのではなく、別のルールで描き直された別の地図になるということです。

Web地図のズームは、この縮尺違いの地図を階段状に並べて、ZLごとに貼り替えて見せています。だから「ズームしたら道の名前が出てきた」ではなく、名前が載っている別の地図に切り替わったが正確な言い方になります。


地理院地図のZL構成

地理院地図の標準地図は ZL2〜18 で提供されています(ZL5〜18は日本全国とその周辺、ZL2〜8はより広い範囲)。ZLが1つ上がるとタイルの枚数は縦横それぞれ2倍、面積あたり4倍に増え、1タイルが受け持つ実際の範囲はその分狭くなります。

ざっくり言えば、

おおよその帯 見える範囲 役割
ZL2〜8 世界〜地方 位置の見当をつける
ZL9〜11 地方〜県 都市間・幹線の関係を見る
ZL12〜14 市域〜市街地 町の構造を見る
ZL15〜18 街区〜建物 個々の地物を見る

この中・小縮尺側(ZL9〜14)が、今回リニューアルされた範囲です。


2026年9月30日に何が変わったか

国土地理院の発表をまとめると、次の3段の組み替えです。

ズームレベル 変更内容
ZL14 電子地形図50000の地図表現を適用。等高線などの情報が充実した
ZL12〜13 電子地形図20万(図式改正予定)の描画を適用。市街地エリアなどの情報が充実した
ZL9〜11 記号形状や文字色の変更等により、ZL12〜14からの描画の連続性・切り替えを改善した

きっかけは令和8年(2026年)1月に電子地形図50000の全国整備が完了したことです。全国ぶんが揃ったので、ZL14に貼れるようになった——という順番になります。

そして注目したいのがZL9〜11の扱いです。ここは「新しい地図を貼った」のではなく、上の帯とのつながりを良くするために記号と文字色を調整した、と説明されています。つまりこのリニューアルは、単にきれいな地図に差し替えた話ではなく、ズームしていったときに見た目が飛ばないように、階段の段差をならす作業でもありました。

「段差」はなぜ気になるのか

別々の地図を貼り合わせている以上、ZLをまたいだ瞬間に表現が変わるのは避けられません。しかし色や記号の形まで大きく変わると、利用者には「同じ場所を見ているのに別のサイトへ飛んだ」ように感じられます。連続性を整えるというのは、異なる縮尺の地図どうしで、記号の語彙を揃えることだと言い換えられます。


見た目が変わらないときは

国土地理院自身が注意書きを出しています。

  • 地図の表示がすべて切り替わるまで数日かかる見込み
  • 表示の切り替えには、使うブラウザのキャッシュクリアが必要な場合がある

Web地図のタイルは画像(またはベクトル)ファイルとしてブラウザや中間のサーバーに溜まります。元が新しくなっても、手元に残っている古いタイルが先に表示されることがある、ということです。「更新されたと聞いたのに変わらない」のほとんどはこれです。


自分で確かめるなら

地理院地図を開いて、同じ場所でZLを1つずつ動かしてみるのがいちばん早い確認になります。見どころは3つです。

  1. ZL13とZL14のあいだ — 今回いちばん大きく入れ替わった境目
  2. ZL11とZL12のあいだ — 市街地の描かれ方が変わる境目
  3. 地名の増え方 — どのZLで、どのクラスの地名が出てくるか

等高線の出かたに目が行ったら、等高線の間隔は何メートル? も合わせて見ると、線の本数が縮尺と結びついている理由まで一続きに分かります。

なお、火山は標準地図そのものには含まれず、重ね合わせ情報として表示します。地理院地図の画面左上の地図アイコン →「トップ」→「その他」→「他機関の情報」→「活火山分布(気象庁)」から出せます。


まとめ

  • ズームで地図の中身が変わるのは、ZLごとに別の縮尺の地図が貼られているから
  • 縮尺が変わると描き方のルールごと変わる(総描)。簡略版ではなく別の地図
  • 2026年9月30日のリニューアルで、ZL14=電子地形図50000/ZL12〜13=電子地形図20万の表現になり、ZL9〜11は上の帯との連続性を改善する調整が入った
  • きっかけは2026年1月の電子地形図50000全国整備完了
  • 反映には数日かかり、ブラウザのキャッシュクリアが要ることがある

「ズームすると地図が詳しくなる」のは当たり前に見えますが、その裏では縮尺ごとに人が描き分けた地図が何種類も用意されています。段差が気にならないほど滑らかなら、それはうまく作られているということです。

出典

  • 国土地理院「地理院地図(中・小縮尺タイル)をリニューアルしました〜情報の充実と表現の統一感向上〜」(令和8年9月30日。ZLごとの変更内容・反映にかかる日数・キャッシュの注意・火山の重ね合わせ) https://www.gsi.go.jp/chizuhensyu/chizuhensyu41047.html
  • 国土地理院「地理院タイル一覧」(標準地図のズームレベル範囲・利用条件) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

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開発者より: アプリ・Kindle本・公開プロジェクトの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。


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